コンセプトを強固につくると頼みたくなる理由ができる。R・バーコンビニ運営の深津さんインタビュー

深津さんインタビュー

こんにちは!
ポップアップラボの菊野です!

今回は、練馬区にある、サステナブルな暮らしの実験場「R(アーーーーール)」や、その時々の地域の___が買えるお店「_CONVENI(バーコンビニ)」を運営する、ノウ株式会社の深津さんにインタビューさせていただきました。

マンションの上下の部屋をリノベーションして生まれた「R(アーーーーール)」。1階はシェアキッチン、2階はシェアオフィスになっています。

サステナブルな暮らしの実験場「R(アーーーーール)」の外観
サステナブルな暮らしの実験場「R(アーーーーール)」

そして、「_CONVENI(バーコンビニ)」は西武池袋線・石神井公園駅の改札の目の前に、2025年7月にオープン。西武線沿線各地の農産物、お菓子や惣菜、日用品などの商品が並んでいます。

_CONVENI(バーコンビニ)の外観
_CONVENI(バーコンビニ)

最近注目度が上がっている練馬区や石神井エリア。その盛り上がりの中心にいる深津さんは、一体どういう経緯で練馬区の暮らしに関わるようになり、Rやバーコンビニを立ち上げるに至ったのか。

聞き手はポップアップラボの風香、書き手は菊野で、根掘り葉掘り伺いました!

目次

紙の切れっぱしに絵を描いていた幼少期

風香

風香(ポップアップラボ):今日はよろしくお願いします!Rやバーコンビニの話も聞きたいのですが、そもそも深津さんって、何でも自分で作れるし、ファッションとかのセンスも素敵だなって。どうしてDIYができるおしゃれ男になったのか、ルーツから知りたいです。

深津さん

深津さん:きっかけを振り返ると、幼少期ですね。出身が茨城県の日立市ってところなんですよ。うちの両親ともに茨城の人で。

日立市の隣にある、母の出身地の高萩市の産業の1つがパルプ製造で、紙を作ってる工場があって。

おばあちゃんがそのパルプ工場に勤めてて、大量に紙の切れっぱしみたいなやつを持って帰ってくるんです。

母親が看護婦で、父親が警察官なんで、どっちも仕事してるから、おばあちゃんのところに預けられてて。

大量に持って帰ってくる紙に絵を描いていたっていうのが、多分クリエイティブ系の仕事につくきっかけだったと思います。

それで、警察官って異動が頻繁にあって、引っ越しが多かったんですけれど、新しい学校で友達をつくるのに、絵を描いて。「こいつ、絵うまいぞ」って言われて、友達になっていました

風香

風香:へー!すごい!

深津さん

深津さん:小中高と茨城で、大学は美大に行きたかったから、水戸市の美術専門の予備校に通って。

そこで入試のスキルを学んで、東京の芸大を受験したけれど、1個も受かんなくて。同時に受けてた山形の東北芸術工科大学だけ受かったんです。

風香

風香:東京に限らずで受験していたんですね。

深津さん

深津さん:そう。浪人の選択肢もなきにしもあらずだけど、山形の美大受かったし、行ってみようかなって思って。そこも今ではすごい有名な大学になったんですけど。

当時は山形に行ったこともなかったし。地元の日立市からだと、東京には高速バスで2時間ぐらいで行けるんですよ。高校生の頃はバイトしてお金貯めて、東京に服を買いにいったりとかして、なんか東京に憧れがあった。それがね、山形に行くことになって。

風香

風香:茨城からさらに遠くなって。

深津さん

深津さん:僕の大学生活というか、これから先大丈夫かなって。

新入生歓迎会みたいな、学校が入学した大学生向けにやるイベントがあって、そこで学生食堂を広く使って、めちゃめちゃダンスしてる人がいたんですよ。ドレッドのお兄ちゃんがそこでヘッドスピンしてて。

僕、中学の頃はずっとブレイクダンスやってて。高校は美術に没頭して、やってなかったんですけど。

田舎で何もないと思ってたんですよ。でも、山の中でブレイクダンスやってる人がいる。しかもドレッド。

それで、速攻そのサークルに入って。大学4年間はもうずっとダンス三昧ですね。

風香

風香:そうなんですね。美術の勉強もしながら。

深津さん

深津さん:そう。グラフィックデザイン専攻で、学校の授業のほかに、自分でもデザインして。ヒップホップカルチャーとかがベースだったので、グラフィティアートだったり。

当時はグラフィックデザインがすごい勢いがあった時代で。僕は、平面における立体の表現っていうテーマで、大学の4年間を過ごした後に、大学院で修士課程まで進んで、表現の追求をしてますね。当時、いろんなコンペティションとかにも出して。

ユポ・デザイン大賞っていうので大賞を取ったんですね。その賞金が当時30万円ぐらいだったから、それで1ヶ月間ぐらい、ヨーロッパをぐるぐると。

雑誌で海外のデザイナーやアーティストの紹介とかをしていたので、そういう憧れの人たちに、「今度行くので、もしよかったら作品見てください」みたいな感じでアポを取って、ポートフォリオを持って会いに行って。

深津さんがヨーロッパを巡っていたときに書いていたという日記
風香

風香:会えるんですね!アポを取るのも行動的ですごい!

深津さん

深津さん:結構ね、すぐ返信くれるんですよ。全然ウェルカムみたいな感じで。

時代の潮目を読み、働く業界を選ぶ

深津さん

深津さん:大学4年間と大学院を過ごして、自分の研究テーマも結構やりきって、これを仕事に活かすってとき、当時は就職氷河期で。

アンテナに引っかかったところを片っ端から受けて、結構落ちて。最終的に、トリコ インターナショナルっていう、家具業界の中では先端を走っていた会社に入れて。

グラフィックデザイナーとして、お店のポップとか、ギャラリーの告知ツールとかデザインしつつ。

それで3年ぐらいですかね。デザイン業界の先端にいたんで、展示会だとか、レセプションパーティーだとかをバンバンやって、いろんな業界のデザイナーとかクリエイターが集まって。

そういう渦中にいたから、めっちゃ楽しかったんすけど。でも、この先ずっとこれを続けていていいのかなっていう風に3年ぐらい経って思って。

風香

風香:業務内容として、ずっとこれからもやっていけるのかみたいな。

深津さん

深津さん:世の中ではもうWebとか、そういう世界がどんどん広がっていく。時代が変わってくなっていうのを、なんとなく想像できて。このままここに浸かっていてはいけないなって思ったんですよね。それで、会社を辞めて、Webの広告とかを作る制作会社に転職しました。

ホームページとか、あとは1週間に何十本もバナー広告を作ったりとか。Webデザイナーって、今だと分業化されてますけれど、当時は全部自分でやるんで。サーバー立てたりとかも全部やる。

そんな経験をしながら、そこも3年間ぐらい色々やったんだけど、今度はブログとかSNSとかが出てきて。あれ、なんかこれバナー作ってる場合じゃねえなって思って。

風香

風香:そのあたりの時代のキャッチというか、勘繰りが早いですね。

深津さん

深津さん:その次に転職したのは、SNSマーケティングとかの会社ですね。それも3年ぐらいかな。

風香

風香:だいたい3年周期なんですね!

深津さん

深津さん:そうですね。大体わかったなと思って。そんなときに、カヤックっていう制作会社を紹介してもらって。カヤックが、面白広告を作る企画クリエイティブ会社みたいな感じで。

インターネット・オブ・シングス(IoT)って、ものがネットに繋がる時代だってなって、そういうガジェットとかデバイスがいっぱい出てきたんです。それを使った案件とかをやってました。

ちなみに、転職するタイミングは、やっぱり収入とかが不透明だったりするから。奥さんに相談して、最終的には呆れられて。

風香

風香:転職の回数も多いから、「またか」みたいなのもあるんですかね。結婚されたのはいつ頃なんですか?

深津さん

深津さん:大学の頃から付き合って、一緒に上京して同棲して、2008年に結婚しました。

それで、会社っていう仕組みで、薄々感づいていたことがあって。年次が上がってくると、マネジメント業務っていうのを任されるじゃないですか。下を育てろとか。

表現とかアイデアとか、世に無い何かをやるっていうのが僕にとってのモチベーションの1つなんで。チームを持てとか管理しろとか、それが自分の役割になっちゃうと、なんか違うなと思ってモヤモヤして。

当時一緒に働いてたクリエイターの佐藤ねじさんと、ブルーパドルっていう会社を作って、一緒に独立しました。

暮らしをテーマに会社を立ち上げ、練馬区との関わりも深めていく

風香

風香:立ち上げたブルーパドルでは、どれくらい働いていたんですか?

深津さん

深津さん:それも3年くらいかな。自分たちのやりたいことがやれてる実感もあって、おかげさまで相談も増えて。2人だと回らなくなるから、社員を雇い出して。

ただ、人を雇うと給料を払う必要がある。やりたい案件だけやるって言えなくなってくるタイミングがある

それで、当時これも流行ってたんですけどギルドっていう仕組みがあって。完全に業務委託メンバーの、職能がある人たちが集まってプロジェクトをやるっていう。

それぞれ自分の会社を持って、何かあったらプロジェクトベースで集まればいいじゃんと、ブルーパドルはねじさんの会社にして。僕はそこから抜けて立ち上げたのが今のノウ株式会社なんですよ。

風香

風香:働き方を柔軟に変えてきているんですね!

深津さん

深津さん:ノウのステートメントは「暮らしに関する課題を解決して社会をアップデートする」で、事業領域を暮らしにして。

これから先の人生、自分の時間を使って取り組んでいくテーマはそこだろうと思って、むしろそれ以外ないよなと思って。

暮らしにテーマを絞って、いろんなお仕事をいただきながらも、自分の住んでいる街のこと全然知らないなと思って。暮らしって言ってるのに。

街づくりとかローカルとか、そういう言葉が結構出てきてたんですけど、実際どんなことが起きているのか知りたくて、いろんな街とかイベントに顔を出していて、その1つがとしま会議ですね。妙法湯の、脱衣所でトークしていた会。

めっちゃ面白くて、主催の中島明さんに、これの練馬区版をやってくれませんかってお願いしたら、「深津さん、自分でやればいいんじゃないですか?」って言われて。

それで立ち上げたのが、ねりまクエスト。そこから、石神井、練馬界隈の繋がりがめっちゃ増えて。

風香

風香:ねりまをクエストした結果がしっかりと。

深津さん

深津さん:そうなんです。それで、何回目かの会に、西武池袋線の高架下の開発を担当者している人が来てくれて。高架下にローカルなお店とかを作りたいってことで、最初は地域アドバイザーとして関わらせていただいて。

まずはイベントをやろうっていう話から、PLAY!高架下を始めて、地域で色々プロデュースする人っていうのに拍車がかかり。

地域での活動が増えていくなかで、シェアハウスの立ち上げとか運営をしている知り合いの会社に、マンションの空室を埋めたいって相談があったらしくて。

僕が石神井で色々とやってるっていうのを知ってくれていて、「ちょっと面白そうだから、一緒に企画考えてくれないですか?」って言われて。

その建物の、1階と2階のそれぞれ1部屋を借り上げて、サステナブルな暮らしの実験場「R(アーーーーール)」っていうコンセプトを作って。

元々が広告業界で、世の中にどういう情報を発信すると取り上げられるかっていうノウハウがあるから、しっかりプレスリリースを出して、おかげさまでテレビ、雑誌、各種メディアに取り上げられて。視察に来てくれる人も多くて。

そういうのがきっかけで、練馬区からシティプロモーションのお仕事いただいたり、光が丘でのイベントの相談いただいたりとか、石神井公園でイベントやったりとか。

直近で1番新しいのが_CONVENI(バーコンビニ)ですね。あそこも西武鉄道さんが元々トモニーっていうコンビニをやってた場所で。それが閉じて、西武鉄道としても、この場所を地域貢献の場として活用したいって構想があって。

Rのシェアキッチンも視察に来てくれて、そこで色々意見交換しながら。「じゃあ、西武沿線のいいものを集めた、道の駅的なお店っていう企画はどうですか?」っていうのを提案したら、ぜひやりましょうって話になって。ざっとそんな感じですね。

コンセプトが強固だと、廃れない

風香

風香:企画書を出すときとか、初めてやる事業に対して、プレッシャーや不安感とかは無いんですか?

深津さん

深津さん:Rもバーコンビニも、僕が今までやったことないビジネスモデルではあるんですよね。

一方で、これは絶対価値あることだとか、企画の部分で自信がある部分もある。ここも、「サステナブルな暮らしの実験場」っていうコンセプトを考えて、絶対これはいけるなっていう。

バーコンビニも同じように、コンセプトで、絶対にいけるなっていう確信はありました。

風香

風香:コンセプトを考えるときに、大事にしていることとかを教えていただきたいです。

深津さん

深津さん:Rもそうなんですけど、既存の建物をリノベーションして、地域の価値を高めるような取り組みって増えてるじゃないですか。こういう賃貸物件とかで、1階をカフェとかにして、街に開いて、地域の人たちが来るみたいな。

そういう場所が増えているからこそ、差別化していく必要がある。差別化で大事なのがコンセプト

Rで実際にやっていることは、1階をシェアキッチンにして、それを地域に開いて、カフェだったりとか、子供食堂みたいなのがあったりとか、その機能だけ見ると、他のエリアのシェアキッチンとやっていることそんなに変わらない。

そこに「サスナブルな暮らしの実験場」っていうコンセプトとネーミングがあることで、ちょっと他とは違う場所っていう風にやっぱり捉えられていて。

コンセプトをいいなって思った人が、興味を持って出店してくれることで、自然とコンセプトに合う使い方がされる場所になっていく。それがめっちゃ大事だなと思って。

ノウ株式会社での案件も、そこは結構大事にしています。要は今まで自分がやってきたことって、マーケティングとか制作とかクリエイティブなんで。

ノウ株式会社の制作実績である「ねりまシティ・ウィザードPJ

それで、じゃあ独立しました、お仕事くださいって言っても、他にもそんな会社はいっぱいある。じゃあどう差別化するかって言ったら、やっぱりコンセプトが大事。

ノウ株式会社のコンセプトが、暮らしっていう領域。

デジタルとか、IoTとかを専門領域にしている会社はほかにもたくさんあるけれど、そのなかでも暮らしっていうテーマだったら、うちに依頼しようと、オーダー側の理由が作れるじゃないですか。

暮らしっていうテーマで、テクノロジーとかクリエイティブを武器にしている会社っていうのはニーズがあるんじゃないかな、みたいな感じで。

風香

風香:会社としての戦略を色々と考えていった結果、暮らしっていうテーマに辿り着いたんですね。

深津さん

深津さん:そうですね。根源的には、自分が一生取り組むテーマとしては、自分の家族の生活も含めて暮らしだろうっていうのはありつつ。

一方で暮らしに絞って仕事があるのかなと思ったときに、自分の売りはテクノロジーとかクリエイティブで。ニーズもあるし、このテーマで独立していけるな、みたいな。そんな感じの順番ですね。

風香

風香:ちなみに、どう広告するかみたいなことをずっとやってきたわけじゃないですか。

例えば間借りで週1の出店とかだと、実店舗とはだいぶ条件が違うなかで、どう宣伝してお客さんに来てもらうかみたいな。深津さんだったら、どうするのかなと思って。

深津さん

深津さんコンセプトが強固なものであると、やっぱり廃れないですよね。

たとえばRで出店する場合だったら、場としてのコンセプトは担保されているので、その上で自分自身のお店のコンセプトを強固にして、発信していくのが大事なのかなと。

風香

風香:確かに、このコンセプトでいけるなって確信がある状態で発信を重ねていくのが大事だなと思いました!

あとがき

幼少期、おばあちゃんが持って帰ってきた紙に絵を描いていて、それがいつの間にか友達をつくる手段になって、それを「生存戦略なんですかね」と話す深津さんが印象に残りました。

進学するたび友達づくりに緊張していた私からすれば、引っ越しは一大イベント。そんな暮らしのなかでの出来事を、自分の好きなことや得意なことでいかに解決するか。

そう考えていた幼少期に、深津さんの今までのキャリアに対する根源のようなものがあるのかなと感じました。

そして、自分が自信を持って「これはいけるぞ」と思えるコンセプトを強固につくるということ。もちろん最初から固められていたらそれに越したことは無いかもしれません。でも、試しにやってみるなかで見えてくるものももちろんあると思います。

「本当、やってみるって大事」と、これもインタビューの中で深津さんが話していた言葉です。

自分のポップアップ出店のコンセプトをより強固にするためにも、まずは他の色々な出店や場所を見てみるのも大事かもしれません。

そんなわけで、練馬区・石神井にあるRとバーコンビニも、ぜひ立ち寄ってみてください!

基本情報

サステナブルな暮らしの実験場「R(アーーーーール)
住所:東京都練馬区石神井台3-20−9
アクセス:西武池袋線「石神井公園駅」から徒歩25分ほど
Instagram:@rrrrre_space@project_r_official

_CONVENI(バーコンビニ)
住所:東京都練馬区石神井町3-23-15
アクセス:西武池袋線「石神井公園駅」西口改札目の前
Instagram:@barconveni


EDITOR:菊野泰斗
PHOTOGRAPHER:風香

目次