こんにちは!
ポップアップラボの菊野です!
6/7に池袋東口グリーン大通りで行われたマーケットイベント「IKEBUKURO LIVING LOOP」で、「ポップアップトーク」を開催しました。
“ポップアップ” とは間借りやシェアキッチンなどで出店することですが、今の自分の生活から、何か理想を叶えるべく、はみ出して活動してみること、それもまたポップアップ。
グリーン大通りのど真ん中にちゃぶ台を置いて、何かチャレンジしている人、そんな人たちを応援する人、応援できる場所を持っている人たちをゲストとしてお呼びし、普段の活動など聞いていきます。
今回のゲストは、石橋さんとさはるさんのお二人です。

様々なフードやドリンクの出店が立ち並ぶリビングループの会場に、「循環」という名前のエリアがあるのはご存知でしょうか?
循環は、マーケットで廃棄されるゴミを捨てるではなく、資源としてまちの中で循環させる取り組み。
循環エリアに設置された「サーキュラーステーション」では、13種類にゴミを分別して回収します。
この循環の活動を立ち上げたのが、元々出店者としてリビングループに関わっていた石橋さんとさはるさん。
本業の傍で、なぜ循環に取り組むようになったのか。その経緯や想いをお二人から聞きました!
石橋さんやさはるさんと話しに来た、中島さんをはじめとした街のお友達と一緒にお話していきます!
石橋さんの経歴と、豆乳をつくるようになったきっかけ

菊野:まずは石橋さん、さはるさんの経歴についてお聞きしたいです。ちゃんと知らないなと思いまして。

さはるさん:私も石橋さんの経歴、よく知らないかも。

石橋さん:そうですね、さはるちゃんはパタゴニアで働いていて。

さはるさん:ちょっと待って、他己紹介ですか!? 石橋さんは豆乳屋さんで、とかだいぶ軽い紹介になりますよ(笑)

石橋さん:意外と出会ってから、まだ短いんですよね。
僕は、10代からずっと飲食なんですよ。高校のときから人間の日常における衣食住の、特に食の分野に興味があって。
そのときから料理の勉強はしていて、高校1年のときにアメリカに行ったんです。留学先が山の中で、鹿を捕まえてみたり、キノコやベリーを採ってみたり。
季節の移り変わりを密接に感じながら、みんなで料理をシェアして食べる。そういう感覚をアメリカで体験してきて。

菊野:高校時代から、そんな体験をしていたとは。驚きです。

石橋さん:そうなんです。それで日本に帰ってきたときに、なんだか味気ないというか。その当時は反抗期だったのもあって、家で飯をあんまり食べなかったんですよ。
食卓を囲む、あの環境が大事だよなと感じて。
高校を卒業して料理の専門学校に通い始めて、15年くらいずっとフレンチだったんですけど、ワインの生産者や農家さん、漁師さんとお話することも多くて。
そのなかで、もうちょっと源流の方に関わってみたいという思いが芽生えてきて。ワインや料理を提供していても、結局代弁者なんですよ。それはそれで、すごく意味のあることなんですけど。
もっと源流のことを知ってみたくて、醸造をやろうと。コンブチャという発酵飲料の醸造に携わっていたら、より源流に対する興味が出てきて。
例えばコンブチャのフレーバーとして地元の食材を使うとか、みんなローカルなものを大事にしていて。その上で、ただ使うだけじゃなくて、その人たちの価値をどう世の中に伝えるかみたいなことも考えていて。
それを見てきたなかで、「池袋産」って無いなと思ったんです。

菊野:たしかに、池袋産のものってあまり思い浮かばないですね。

石橋さん:コンブチャの醸造もすごい楽しかったんですけど、もっと生涯をかけられるようなことを見つけたいなと思って。
池袋の特色はなんだろうと考えつつ、リビングループなどを通して地域の方々と関わっていくなかで、1つ気づいたことがあって。
池袋って人がいっぱいいる。他のところだと意外と無いような繋がりがあるんですよ。
それで、人がいるから成立するものって何だろうと考えたときに、小さい頃に買い物に行った商店街が思い浮かんで。その中でも特に人の手が関わってるものが、豆腐なんですよね。
豆腐って足が早いから、もう毎日作らないといけないし。作ったものは売り切らなきゃいけない。人が多く住んでいて、みんなが買いに来てくれるところじゃないとお店が成立しないんですよね。
池袋は実は豆腐屋さんがいっぱいあったんですけれど、最近どんどん閉まっちゃっているんです。
こんなに人がいるんだから、なんとかできないかと思って始めたのが「Peace」という豆乳の事業です。


さはるさん:知らなかった。かっこいいですね。

石橋さん:意外と真面目なんですよ。意外と。
さはるさんの経歴と、循環の活動のルーツの石垣島

石橋さん:2人の経歴ってことなんで、さはるさんからもどうぞ。

さはるさん:私はですね、大学を卒業してから生命保険会社に入って、色々とあって1年間で辞めて。そのあとに再就職で、電機メーカーの営業を6年間やってました。
そのときにプライベートでアウトドアに出合って。石垣の海とか、スタンドアップパドルボード(SUP)っていうスポーツとか。
そこから環境問題に興味を持つようになったんですけれど、働いてる企業と自分のプライベートにすごくギャップを感じたんですよね。
プライベートではマイボトルやエコバッグを持つとか、自分にできることをやってたんです。でも、こういうのを会社に持ってくと当時は「お金ないの?」なんて言われるんです。SDGsという言葉も無かったから。

石橋さん:「変に節約してんの?」みたいな?

さはるさん:そうそう。そういうことを同世代の女子社員とかから言われるのがしんどかった時期もあって。自分の想いとのギャップを感じたときに、退職を決めて。
SUPをやっているときからパタゴニアのウェアは着ていたんですけれど、パタゴニアの理念に惹かれて。
こういう人たちと一緒に働いたら、プライベートも仕事も切り分けずに自分が豊かに生活できるかもしれないと感じて。でもパタゴニアは社員の募集がなくて、バイトからのスタートなんです。
年収が3分の1になったので、覚悟を決めての転職でした。
今年でパタゴニアは6年目で、社員になったんですけど、今はこういったサーキュラー(循環)の個人活動も大切にしたくて、仕事とのバランスをどう取っていくかが悩みです。

石橋さん:難しいよね、仕事をしながら実現していこうと思うと。直接的に収益が出てるわけではないからね。

さはるさん:お金にするのって難しいですよね。


菊野:さはるさんは海が好きで、そこから循環に興味を持つようになったんですか?

さはるさん:私のサーキュラーに関する活動のルーツ、環境に興味を持って、ゴミを減らしていこうって想いの原石が、経歴のなかでも話した石垣島なんですよ。

24歳のとき、社会人1年目で会社を辞めたあとの1ヶ月間、石垣島を1人旅しまして。石垣の海に魅せられて、通い続けてますね。
沖縄は行ったことあります?

石橋さん:修学旅行で行きました。

さはるさん:石橋さん、暑いところあまり好きじゃなさそうですよね(笑)

石橋さん:亜熱帯、お腹痛くなっちゃう。だけどパクチーとかナンプラーとかは好き。
修学旅行の思い出だと、市場で買ったグルクンを、その場で料理してもらったのは印象に残ってますね。
あと沖縄って温泉が少ない印象。

さはるさん:海に入ればいいんじゃないですか。
石垣島は山もあって、登れる岩もあって。海も川もあって、自然が全部楽しめるんです。そこが好きで。

石垣島から少し離れたところには石西礁湖(せきせいしょうこ)っていう世界自然遺産にも登録されているサンゴ礁があって、めちゃくちゃ綺麗なんです。ただ、そのサンゴ礁も今どんどん減っていて。
10年とか通ってると、海の中の景色ってだいぶ変わってくるんです。サンゴとか魚がいたスポットが、次の年に行くとサンゴが全部死んでしまっていたり
移り変わる自然を見てきて、なんでこんなに自然が無くなっていくんだろうと考えるなかで、ゴミ問題にたどり着きました。

菊野:たった1年で変わってしまうんですね…。ちなみに何が原因なんですか?

さはるさん:温暖化と生活排水、赤土の流出とかも原因かも。
例えば台風が来ないことで海水温が上がりすぎると、珊瑚礁って生きていけないんです。去年行ったときは、それこそ温水プールくらいの温かさだったんですよ。ダイビングで深く潜ると冷たいんですけど。
サンゴ礁の激しい変化を目の当たりにして、環境の問題に向き合うなかで、もうひとつ見逃せない問題があることに気づいて、それが「ごみ問題」でした。
海の中だけでなく、陸から流れ込むプラスチックや生活ゴミが海に漂って、サンゴや魚たちの生息環境をさらに悪化させていることがわかってきたんです。
サンゴ礁が減っていく背景には、気候変動だけでなく、人間の生活から出るゴミが密接に関係している。だからこそ、海や自然を守るためには、ゴミ問題を無視せず、根本から取り組んでいく必要があると感じたんです。
自分たちが過ごす街に愛着を持つ

菊野:循環という取り組みを自分ごとに捉えているかどうかがやっぱり大事だと感じていて。
そう考えたときに、石橋さんやさはるさん自身にとって循環の取り組みが必要な理由って何なのでしょうか?

石橋さん:僕は育ちがここら辺なので、小中学生の頃はグリーン大通りにチャリンコが山盛りに停まってたし、柄の悪いおじさんたちに絡まれるっていうくだらない時代を過ごしてきてるんです。
その街とか、そこにいる人たちのことを大事に思っていないからそういうアクションが取れるんだろうなと。だからゴミも多かったし、「豊島区は汚い」「ガラ悪い」みたいな。
自分にとって愛着がある場所、例えば家や学校、部活で使うグラウンドとか。自分が大事にしている場所だったら、一生懸命綺麗にするじゃないですか。
それが街に広がっていってもいいんじゃないかと思っていて。自分に子供ができて、生まれて育つ場所、過ごしている場所に愛着を持ってほしくて。
リビングループの「まちなかをリビングのように過ごす」ていうコンセプトに対して、どんどん人が集まってきて、どんどん楽しくなっている。
けれどそれが、お祭り的に消費して終わりの場所になってはいないだろうか。これから5年、10年と愛されてくのか。自分はそこにどう関わり続けるんだろうか。
そう考えたときに、どんな結果になるかはわからないけど、何かアクションを起こしていきたいと思って。

菊野:自分の家のリビングだったら、ゴミを散らかさないだろうみたいな。

石橋さん:ちょっと前まで、リビングループの終わりがけに南池袋公園に行くとゴミ箱が溢れ返っていたんですよ。自分の出店で出たゴミも捨てられてていて。
南池袋公園はデートしているカップルも多いじゃないですか。ゴミ山盛りだったら、次から来てくれなくなっちゃうかもしれないし、住みたい街にもならないだろうし。
循環に取り組んだ結果、どうなるかはわからないけど、今の大人はこういうことを問題だと思ってるというのを次の世代にとって何か役に立つように見せていけたらいいのかなと思ってます。
自分が今できることをやると、巡り巡って地球のためになる

さはるさん:私もシンプルで。最初に話した通り、石垣島の海が好きで。日本って島国なんで、周りを囲んでいる海を救うために、自分が今できることをやっています。
海に流れ着くゴミって、私たちが出してる生活ゴミが大半なので。それをどう減らせるか、自分にできることとして、この循環の取り組みが必要だと思ったからやっている。シンプルですね。

石橋さん:シンプルだけど大事だよね。巡り巡って地球全体の話になる。全部繋がっている。
ゴミは生き物が生活していると絶対に出るもので、人以外の動植物の生活のなかでも出ている。
ただ、人間が圧倒的にゴミの生産量が多い。僕の好きなお酒もそうなんだけど、生活必需品ではない娯楽が多いわけじゃないですか。
でも、その娯楽が人の生活を豊かにするし、文化を作る。
ただ、その延長線でどんな行動をしていくかを考えていかないと、バランス崩れてしまうんだろうなと。


さはるさん:これって難しいですよね。これが正解って決まっていないから。例えば売上みたいに、数字で出せるわけじゃないし。

石橋さん:みんなが1番気になること、嫌なこと、大事にしたいことって何?というところだと思うんですよね。
「もうちょっと道路が空いていて欲しい」、「空気が澄んでいて欲しい」、「水が綺麗だったら嬉しい」、「柄が悪い人に駅前にいないで欲しい」とか。
みんなが自分の中で、自問自答して議論するのが必要なのかなと思っていて。
例えば税金の話。税金が持っていかれるのが嫌だっていう人もいると思います。
ゴミは袋に詰めて指定の曜日に外に出しておけば、綺麗に回収してもらえて。でもゴミがどんどん増えていったときに、しれっと知らない間に税金として返ってくるんですよ。
燃料費も高騰しているなかで、ゴミの量が増えたら、それだけ燃料が必要になってくるので。
結局巡り巡って返ってくるんですけれど、おそらく自分たちが働いてる時期ではなくて、先ほど話したように自分の子供とか孫の時代になってから全部跳ね返ってくる。
だからこそ、自分たちの代でアクションを起こしていくことが大事なんじゃないかなって。
声に出すと、形になって、みんなも思っていることを言いやすくなる

中島さん:石橋さんやさはるさんががやったことって大きくて。飲食店としてリビングループに出店しながら、循環の取り組みもしている。
イベント主催者側がお願いするばかりだったら、ここまで広まっていないんじゃないかな。

石橋さん:「THE HASUNE FARM」さんのコンポスト活動を見て、きっとこれは、みんなで取り組まなきゃいけないことなんじゃないかって思ったのが、リビングループで循環エリアを始めたきっかけで。
そこから、リビングループの主催側からはもちろん、他の出店者からもアイデアがどんどん出てきて。

さはるさん:ね!すごいですよね、ほんとに。

石橋さん:声が一回通って形になり始めると、みんなも思っていることが言いやすくなるってのもありますよね。とはいえ、今こうやって循環に取り組めている状況は一昨年には想像できなかったです。
あとがき
「循環」、「サーキュラー」という言葉だけ聞くと、少し難しく感じてしまっていたけれど、石橋さんやさはるさんの話を聞くなかで、とても身近なこととして捉えられるようになりました。
イベントにおけるゴミの課題に対して、石橋さんとさはるさんがまず声を上げて、何か行動を起こそうとしてきたから、今ではイベント主催者や、他の出店者も一体となってゴミや循環について考えて、参加者にも働きかけていくような流れが生まれています。
一番最初に声を上げること。行動に起こすこと。これってとても勇気がいることだだけど、声を上げるから、共感が生まれて、仲間が増えていく。
お二人の活動のルーツを垣間見ることができて、とても貴重な時間でした!

